カジノ

 2016.07.17

【DK-SIS白書2015・レジャー白書2016】パチンコ業界の売上について考察してみる

先日、DK-SIS白書2015の発刊とレジャー白書2016の概要記者発表会が行われました。

これらの中で、昨年の業界の市場規模やその他のデータが明らかになりましたので、少し考察をしてみたいと思います。

まだまだ世間には、業界の売上規模や消費金額に対する偏見・誤解が存在しているように思われます。

今回の考察では、これらの偏見・誤解を解いて行こうと思っています。

それではまず、最新のDK-SIS白書とレジャー白書の内容から見ていくことにしましょう。

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DK-SIS白書の業界データについて

2015年の業界全体の売上は22.3兆円となっており対前年比-4.8%、パチンコのみに限って言えば売上13.2兆円、対前年比-7.1%なので、パチンコの落ち込みが大きいことが分かります。

粗利に関しては、業界全体で3.32兆円で対前年比-5.1%、パチンコに限定すると2.02兆円、対前年比-7.5%なので、粗利に於いてもパチンコの落ち込みが大きくなっています。

そしてDK-SIS白書の発刊記者会見では、撤去問題によるMAX機比率減少の効果で、2016年のパチンコ粗利の2兆円割れは確実との見解が示されています。

それでは過去5年間の業界データを見てみることにしましょう。

過去5年間のパチンコのみのデータ
売上(兆円) 粗利(兆円) 還元率(%) 粗利率(%)
2011 16.4 2.58 84.3 15.7
2012 15.7 2.4 84.7 15.3
2013 15.0 2.29 84.7 15.3
2014 14.2 2.18 84.6 15.4
2015 13.2 2.02 84.7 15.3

過去5年間の業界全体のデータ
売上(兆円) 粗利(兆円) 還元率(%) 粗利率(%)
2011 24.6 3.82 84.5 15.5
2012 24.8 3.78 84.8 15.2
2013 24.1 3.63 84.9 15.1
2014 23.5 3.5 85.1 14.9
2015 22.3 3.32 85.1 14.9

過去5年間の業界全体のデータを見てみると、売上・粗利ともに減少傾向にあることが分かります。現在、遊技業界が衰退局面にあるというのは、抗いようのない事実であるように思われます。さらに2016年はパチンコ台の撤去問題もあり、さらなる業界の落ち込みが懸念される所でもあります。

そして、過去5年間の業界全体の還元率・粗利率の平均についてですが、それぞれ還元率84.9%、粗利率15.1%となっています。他の公営ギャンブル等と比較しても、相対的に還元率が高いことが分かります。

レジャー白書の業界データについて

レジャー白書によると、2015年のパチンコ参加人口は前年比80万人減の1070万人となった模様。

市場規模は23兆2290億円で、前年から1兆2750億円、率にして5.2%減少しています。(市場規模に関してはDK-SISデータとズレがありますが、実際のホールデータから市場規模を推測しているDK-SISデータの方が信憑性は高いと思われます。)

余暇市場全体の規模は72兆2990億円で前年比1%の減少となっています。

(参考ページ)遊技通信|「レジャー白書2016」参加人口は1070万人 前年比80万人減

各国のカジノ市場の規模を見てみる

さてここで、世界的に見た日本のパチンコ市場規模の大きさを知るために、カジノを合法化している国の中で、いくつかピックアップして売り上げデータを見てみることにしましょう。

各国のカジノ市場のデータ
国名 売上(兆円)
アメリカ 7.0 2014
マカオ 3.5 2015
シンガポール 0.5 2015

ここでのカジノの売上というのは、カジノ業者の取り分であるハウスエッジの累計額のことです。

日本のパチンコで言うと、「貸し玉料金から景品交換の金額を引いた額」の総計ということになります。つまり、お客の側から見れば純粋に負けた金額であり、パチンコホール側から見れば、粗利金額になります。

DK-SISデータでの粗利が、世界基準で見た業界の売上ということになるので、直近の2015年のデータである3.32兆円というのが、日本の業界規模を表す数字として妥当であると言えるでしょう。

パチンコ業界の売上について考察してみる

それでは、業界の売上規模についての偏見や誤解を3つ程、考察により正してみたいと思います。

まず1つ目に、パチンコ業界は20兆円産業であり、世界のギャンブル市場でも突出して大きく、従って日本はギャンブル大国であるという誤解です。

これについては前章の最後でも説明したように、日本の業界規模は正しくは3.32兆円程であり、これは現在のマカオと同レベル、アメリカの半分くらいの規模であるということです。

日本だけが、世界で飛びぬけて大きなギャンブル市場を持つという事実はどこにもありません。

2つ目に、余暇市場の三分の一もの部分が、遊技産業に占められているという誤解です。

前々章で紹介したレジャー白書の余暇市場全体のデータである72兆2990億円に、正しい遊技業界の数字3.32兆円を適用してみると、実は余暇市場全体に占める遊技市場の割合は、6%程度でしかないことが分かります。

3つ目に、遊技者1人あたりの平均年間消費金額が200万円程度もあるという誤解です。

DK-SISのデータによると、還元率は85%くらいなので、実質的な遊技者1人あたりの年間負け金額は30万円程度であり、月間2万5000円程度の負け金額ということになります。

これを大きいと取るか小さいと取るかは人それぞれだと思いますが、少なくとも月間で平均数十万円も負けるという事実はどこにもないことが分かると思います。

要するに、パチンコ市場の規模を大きく錯誤させたり、遊技者の負け金額を過大に表現したりするのは、それらの情報発信者の意図的な狙いがあるということです。

パチンコ業界の精確なデータの把握の仕方は、本コラムで述べた通りです。是非、偏見や誤解の無いように正しい目でパチンコ業界の現状というのを見て欲しいものです。

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