2016.07.31
【ギャンブル依存症】パチンコにおける射幸性の正体とは?
近年、ギャンブル依存症問題などへの関心の高まりなどで、パチンコの射幸性についてクローズアップされる場面が増えてきています。
パチンコの撤去問題に於いても、元はといえばパチンコの射幸性の亢進によるユーザーの投資金額の増加というものが警察の目に留まり、今回の処置に繋がっていったという背景があるのは周知の事実だと思います。
しかしながら、肝心の「パチンコの射幸性の本質とは一体何なのか?」という問いに、正確に答えられる人はそう多くはないでしょう。
そこで本コラムでは、パチンコの射幸性の本質について考察し、その正体を突き止めてみたいと思っています。
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まず、「射幸性」の国語的な意味を説明すると「偶然に得られる利益の大きさ」ということになります。
もう少し分かり易くして、「パチンコの射幸性」に置き換えて説明してみると「勝ち負けの金額のバラツキ度」ということになるのではないでしょうか。
例えば、一日で5万円勝ったり負けたりするパチンコ台と、10万円勝ったり負けたりするパチンコ台を比較した場合、当然後者の方が「勝ち負けの金額のバラツキ度」は大きく、従って「射幸性」も大きいというのは明白でしょう。
そして、この「勝ち負けの金額のバラツキ度」を数学的に一言で表現すると、「収支の標準偏差」ということになります。
実は、パチンコの「収支の標準偏差」については、公式というものが存在します。
その公式を紹介する前に、いくつかのパチンコ用語について説明しておかなければなりません。
その中でも、特に重要な「トータル確率」という概念について解説してみることにしましょう。
パチンコ雑誌やパチンコの勝ち方を解説したWEBサイトなどでは、頻繁に「トータル確率」という用語を目にすることと思います。
そして、「トータル確率」を求めるには、「大当たり確率」と「連チャン数」という2つのファクターが必要となります。
例えば、大当たり確率が400分の1のパチンコ台に於いては、平均でデジタルを400回転させれば大当たりが来るようになっているのですが、この時、平均で大当たりが4連チャンするならば、デジタル回転数「400」回転を連チャン数「4」で割った数字である「100」というのが、「トータル確率」ということになります。
もう一例挙げてみましょう。大当たり確率が200分の1で、2連チャンするパチンコ台に於いては、デジタル回転数「200」回転を連チャン数「2」で割った数字である「100」というのが、「トータル確率」となります。
つまり、簡単に言うと「デジタルを何回まわせば、大当たりを1回させることが出来るのか?」ということを実質的に表す数字が「トータル確率」というものなのです。
さてここで少し、パチンコの遊技性について説明しておくことにしましょう。
パチンコというものは御存知の通り、初めにデジタルを回して行き、大当たりが来たら連チャンし、またデジタルを回して行くという繰り返し構造になっています。
その繰り返しの中で、「はまり回転数」と「連チャン数」の2つのバラツキが上手くミックスされて、絶妙なゲーム性を演出しているといえるのではないでしょうか。
つまり、「はまる」→「連チャンする」→「はまる」→「連チャンする」という変化を伴った連続的なサイクルこそが、パチンコの遊技性の本質なのではないかと思います。
ここで先の話に戻ってみましょう。
「大当たり確率400分の1で4連チャンするパチンコ台」と、「大当たり確率200分の1で2連チャンするパチンコ台」は、共に「トータル確率」は「100」で一致していました。
ところが大当たりの波で考えた場合、「大当たり確率200分の1で2連チャンするパチンコ台」より「大当たり確率400分の1で4連チャンするパチンコ台」の方が、大きくはまって沢山連チャンするであろうことは容易に想像できるでしょう。
この直観こそが「パチンコの射幸性の本質」を理解する上での助けになります。
それでは、パチンコの射幸性を表す公式の説明に入って行くことにします。
実を言うと、「パチンコの射幸性を表す公式」の元となる「パチンコ収支の標準偏差を表す公式」は、以前のコラム『パチンコ収支の勝ち金額とか負け金額って一体どれくらいバラツキがあるの?』で既に紹介されています。
ここでは、この公式を少し改良し、「パチンコの射幸性」の大きさを表す指標として「射幸性指数」なるものを導入してみました。それでは、以下に「パチンコの射幸性を表す公式」を示してみることにします。
この公式を利用し、同一のトータル確率「100」であるパチンコ台に於いて、「大当たり確率」と「連チャン数」を変化させた時に、どのように射幸性の大きさが変わっていくのかを調べてみました。以下に、その結果を掲載しておきます。(射幸性の大きさは、大当たり確率100分の1のものを基準とした相対値)
トータル確率「100」のパチンコ台の射幸性の大きさ
大当たり確率 |
連チャン数 |
トータル確率 |
射幸性の大きさ |
100 |
1 |
100 |
1.00 |
200 |
2 |
100 |
1.73 |
300 |
3 |
100 |
2.24 |
400 |
4 |
100 |
2.65 |
500 |
5 |
100 |
3.00 |
表から分かることの1つが、「大当たり確率500分の1」で「連チャン数が5」のパチンコ台の射幸性の大きさは、「大当たり確率100分の1」で「連チャンしない」パチンコ台の射幸性の大きさの3倍もあるということ。
これは例えば、パチンコ収支に於いて「3万円の勝ち負け」で済んでいたものが、「9万円の勝ち負け」の勝負になってしまうことを意味しています。
さてここで話を戻して、「パチンコの射幸性を表す公式」の意味について少し解説してみることにしましょう。
この公式の右辺に於いて、①の部分は「トータル確率」が等しい限り変化は無いのですが、②の部分は「連チャン数」により大きく変化して行く事が分かると思います。変化の度合いについては、上表を確認してみて下さい。
つまり、「パチンコの射幸性」というのは「連チャン数」によって決定付けられているということです。
パチンコを打ったことのある人なら分かると思いますが、連チャンしていく時の快感は、まさに脳汁が出るという表現にピッタリと当て嵌まるものです。
あの連チャンの快感をもう一度という感じで、ついついホールに通ってしまうという経験は、「パチンコ打ち」ならば大抵誰にでもあるのではないでしょうか。
要するに、「連チャン数」の大きさが「パチンコの射幸性」の大きさの源泉となり、パチンコ自身の魅力を引き出し、時には過度の中毒性を誘発してしまうこともあるということです。
実を言うと、「トータル確率」を一定に保つためには、「大当たり確率」を変化させた時に「連チャン数」をいじる必要があるので、結果的に「大当たり確率」が「パチンコの射幸性の大きさ」の調整弁となっています。
そういう意味において、これまでのパチンコの歴史の中で「パチンコの射幸性の大きさ」を制御するために、日工組が内規によって「大当たり確率」の変更を行ってきたというのは、必然的な出来事であったといえることでしょう。
直近に於いても、日工組は内規変更により、「大当たり確率」の下限値を「400分の1」から「320分の1」に、確変継続率の上限を65%に規制していますが、これなどは業界を挙げて「パチンコの射幸性」を抑制していこうとする動きに他なりません。
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