2016.01.04
パチンコ収支の勝ち金額とか負け金額って一体どれくらいバラツキがあるの?
パチンコを打つ時の勝ち金額や負け金額って結構バラツキますよね。
大勝ちする時は10万円超える場合もあるけれど、負ける時はいくら注ぎ込んでも勝てないことがあると思います。
今回のコラムでは、このパチンコ収支のバラツキの正体を、数学的に解明していきたいと思います。
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パチンコを打つ時、1日の収支のバラツキっていくらくらいになるの?
あなたは疑問に思ったことはないですか?
パチンコって一日で何万円も勝ったり負けたりするけど、実際のところだいたいどのくらいの金額のバラツキがあるのだろうかと。
それにはまず、パチンコの大当たり回数のバラツキ幅を知る必要があります。詳しい証明は抜きにして結論だけ書くと、パチンコの大当たり回数のバラツキ幅は、近似的に以下の式で表されることが分かっています。
(参考)パチンコ用語
標準偏差というのは、言い換えると「ある統計量の平均値まわりでのバラツキ度合を数値で表したもの」です。さて、上式の大当たり回数の標準偏差に、大当たり1回で得られる収益を掛けてみましょう。これが即ち、「大当たり金額の標準偏差」=「大当たり金額のバラツキ」ということになります。(等価交換で考察)
(参考)パチンコ用語
例をあげてみましょう。あるパチンコ台の平均出玉 D が1500個で、平均連チャン数 H が4回、そしてこの台を1日打った時の平均大当たり回数 N が25回であるとします。式 C にこれらの数値を代入します。(注1)
この台を1日打った時の大当たり金額の標準偏差が、約79370円であることが分かります。
ここで一つ触れておくと、式 C は近似的な解であるということ。厳密解を求めたいならば、コンピューターによるシミュレーションが必要不可欠になります。
パチンコの大当たり金額の標準偏差は、結局のところパチンコ収支の標準偏差と等しくなるので、次章以降はパチンコ収支の標準偏差を使って説明していくことにします。
※(注1)現在パチンコ台の入れ替えサイクルは非常に早く、具体的なパチンコ機種を例に挙げて数値を示すと、すぐに記事が古いものになる。よって、汎用的かつ分かりやすく考察するために、仮の数値を当て嵌めています。1日の稼働時間は10時間程度と仮定。
大数の法則についてざっくりと説明しよう
1日パチンコを打った時の収支のバラツキ幅は分かりました。じゃあ何日かパチンコを打って、1日あたりの平均パチンコ収支を計算してみた時、その金額のバラツキ幅は一体どの位になるのでしょうか?
(参考)パチンコ用語
上式が n 日間パチンコを打った時の1日あたりの平均パチンコ収支の標準偏差となります。 1日の収支の標準偏差は、式 C を参考にしてください。
さて、前章の例を使ってみましょう。このパチンコ台における1日のパチンコ収支の標準偏差は約79370円でした。このパチンコ台を仮に100日打ったとしましょう。その時、1日あたりの平均パチンコ収支の標準偏差は以下となります。
さらに話を進めて、このパチンコ台を1万日稼働したと仮定してみましょう。
1日あたりの平均パチンコ収支の標準偏差が、僅か794円になってしまいました。もっと話を進めてみましょう。このパチンコ台の稼働日数を『無限大』にまで持って行きます。
1日あたりの平均パチンコ収支の標準偏差は、限りなく0に近づいて行きますね。
つまり、ボーダーライン理論的に言うと、『1日の期待値が X であるパチンコ台を打ち続けていれば、日々収支の変動はあれど、1日あたりの平均収支の標準偏差は0に近づいて行き、最終的にはそのパチンコ台の1日の平均収支は期待値 X に収束していく。』ということです。
平たく言えば、『期待値がプラスのパチンコ台を打ち続けていれば、結局は期待値の分だけ勝てるようになりますよ』ということです。このことは、期待値がマイナスの場合でも同様に成り立ちます。
以上、確率論の大数の法則をパチンコ収支に絡めてざっくりと説明してみました。
長期間のパチンコ合計収支はどのくらいばらつくの?
今度は、何日かパチンコを打って合計収支を計算してみた時、その金額のバラツキ幅がどれくらいになるかを考察してみましょう。
(参考)パチンコ用語
上式が n 日間パチンコを打った時の合計収支の標準偏差となります。 1日のパチンコ収支の標準偏差は、式 C を参考にしてください。
前章と同様に話を進めていくことにします。再び、前章のパチンコ台の例を使用することにします。このパチンコ台における1日のパチンコ収支の標準偏差は約79370円でした。このパチンコ台を仮に100日打ったとしましょう。その時、100日間のパチンコ収支の合計の標準偏差は以下となります。
さらに話を進めて、このパチンコ台を1万日稼働したと仮定してみましょう。
1万日間のパチンコ収支の合計の標準偏差は、7937000円になることが分かります。もっと話を進めてみましょう。このパチンコ台の稼働日数を『無限大』にまで持って行きます。
標準偏差が『無限大』になりました。この事実から、一体何が分かるのでしょうか?
つまり、何日間かパチンコを打った時の合計収支は、その日数が大きくなるにつれてバラツキがどんどん大きくなっていく、という事が分かります。1日あたりのパチンコ平均収支のバラツキが、0に近づいていくのとは大違いですね。
最後に一つ、少し話が難しくなりますが、重要な数学上の定理について述べておかなければなりません。それは、中心極限定理と呼ばれるものです。中心極限定理を今回の例で簡単に説明すると、数日間のパチンコ合計収支の分布は、日数が大きくなるにつれて正規分布に近づいていくということです。
(参考ページ)中心極限定理|ウィキペディア
この中心極限定理というのは非常に強力なもので、日々のパチンコ稼働が羽物、MAXタイプ、甘デジ、その他どのようなタイプであっても、結局は稼働日数分だけ積み上げられた期待値の周りに、パチンコ合計収支が正規分布していくようになります。
例としてパチプロのパチンコ収支のバラツキについて考察してみよう
パチプロのパチンコ収支の実態というのは、一体どのような感じになっているのでしょうか?
ある程度実力のあるパチプロの1ヶ月間のパチンコ稼働データは、概ね以下のようになると推測しました。(ただし、考察を単純化するために、キリの良い数値や独自判断した数値を用いています。一つのモデルとしてお考え下さい。)
1日の稼働時間
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11時間
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1日のパチンコ収支の期待値
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+27000円 ~ +28000円
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1日のパチンコ収支の標準偏差 (a)
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80000円
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1ヶ月間の稼働日数 (b)
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18日
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1ヶ月間のパチンコ合計収支の期待値
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+500000円
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1ヶ月間のパチンコ合計収支の標準偏差 (c)
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340000円
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(a) の1日のパチンコ収支の標準偏差について、ここでは、現在のMAXタイプ、ミドルタイプのスペックや換金率などを考慮し、シミュレーション値を参考にして推定しました。(b) の稼働日数は、打つ台にあぶれる日や早上がり日などを考慮しています。
パチプロの1ヶ月間の合計収支分布
(c) の1ヶ月間のパチンコ合計収支の標準偏差は、(a) の1日のパチンコ収支の標準偏差を用い、式 Dを参考にして、以下のように求めています。
さてここで、実際の収支がどのように分布していくのかをグラフで見てみましょう。
薄い赤色の部分が合計収支マイナスの範囲で、薄い青色の部分が合計収支プラスの範囲です。つまり、パチプロの1ヶ月間の合計収支は、7%の確率でマイナスになる可能性があるということ。パチプロでも約14ヶ月に1回は月間マイナス収支を叩き出すことがあるのです。
パチプロの2ヶ月間の合計収支分布
続いて今度は、2ヶ月間のパチンコ合計収支がどのように分布していくのかを見てみよう。
各種データは以下の通り。
パチプロの2ヶ月間の合計収支は、2%の確率でマイナスになる可能性があります。つまり、約50ヶ月に1回は2ヶ月間合計収支でマイナスを叩き出す可能性があるということです。
パチプロの3ヶ月間の合計収支分布
最後に、3ヶ月間のパチンコ合計収支がどのように分布していくのかを見てみましょう。
各種データは以下の通り。
パチプロの3ヶ月間の合計収支がマイナスになる可能性は、僅かに0.5%になってしまいます。つまり、約200ヶ月に1回程度しか3ヶ月間合計収支でマイナスになることがないのです。
以上をざっくりと纏めてみると、パチプロというのは、1日の収支の標準偏差が80000円もあるようなパチンコ台を打ち続けているが、1ヶ月間合計収支で約1年、2ヶ月間合計収支で約4年、3ヶ月間合計収支で約17年に1回程度しかマイナスにならないような、非常に安全度の高いパチンコ稼働をしているということです。
まとめ
今回は、パチンコ収支のバラツキについて色々と説明してみました。
日々パチンコを打つ時、勝ち金額や負け金額に翻弄されることもあるのではないかと思います。
そんな時には、本コラムのことを少しでも参考にして下さい。
たくさん数式が登場してくるので、なかなか理解し辛い場面もあるかと思いますが、ここまでお読み下さりどうもお疲れ様でした。
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