2016.09.09
パチンコ釘問題(遊技くぎ問題)の今後の展開について真剣に考えてみた!!
当サイトでも何度も取り上げている「パチンコ撤去問題」。
実は、その根底には「パチンコ釘問題」が存在しています。
「パチンコ釘問題」というのは、非常にデリケートな問題であり、かつパチンコの本質に関わる問題でもあります。
「パチンコ撤去問題」の方は現在進行形で進んでいる訳ですが、それは「パチンコ釘問題」とて同じこと。
そこで本コラムでは、「パチンコ釘問題」の今後の展開について考察してみることにしました。
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カジノ合法化で何が起こる?
世間一般的には、「『パチンコの射幸性を抑える』ための規制」という観点で、「パチンコ撤去問題」は捉えられていると思います。
ところが実際には「パチンコ撤去問題」は、「検定時と異なる可能性のある遊技機」が営業の用に供されているというパチンコの釘調整の問題、即ち「パチンコ釘問題」であります。
日本にパチンコが誕生して以来、ずっと釘調整は行われてきたものであり、警察もこの事実を黙認してきたのでした。
ところが、昨年、2015年1月に釘調整のことが公にされ、「一般入賞口における釘調整」という切り口で表面化し、現在の一連の「パチンコ撤去問題」に繋がっているのは皆さんも周知のことと思います。
では、どうしてこんなにも長い間、パチンコの釘調整について公に語られることがなかったのか?
それはパチンコというものが、世界に類を見ない特殊な遊技機だからです。
「パチンコ撤去問題」においては、「検定時と異なる可能性のある遊技機」が問題視され、結果、ホールから該当する機種の撤去・回収が決定されるという事態にまで発展しました。
これは逆にいうと、「検定時と同じ性能を有する遊技機」であれば何も問題が無いことを意味しています。
しかし、パチンコ台においては日々の稼働で、パチンコ玉の衝突などにより釘の状態が変化し、「検定時と異なる遊技機」になってしまう場合があります。
ところが、風適法第12条に規定された設備技術基準適合維持規定により、ホール管理者はパチンコ台の釘を「検定時と同じ性能を有する」状態に戻さなければならないという義務を負っています。
実は、ここに「パチンコ自身が持っている矛盾」を見出すことが出来るのですが、それは主に以下の2つの点に集約されることでしょう。
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パチンコ台は「検定時と同じ釘状態」を完全に再現することが不可能である。
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パチンコ台は「検定時と同じ釘状態」との誤差が極少でも出玉率に大きな違いが出来てしまう。
例えばカジノのルーレットやカードにおいては、自然に確率が変化するということは起こり得ません。
ところがパチンコにおいては、釘の状態の変化で入賞率や出玉率が増減する場合があり、それを元に戻す必要があるにも関わらず、完全に復元させることが出来ないという一種のパラドックスを抱えているのです。
このパラドックス上に立脚しているのが、パチンコにおける「釘のメンテナンス論」です。
「釘のメンテナンス論」は簡単にいうと、「検定時と同じ状態に釘を日々メンテナンスしなければならないが、誤差により出玉率等に変化が起きてしまう。」という考え方。
ただし、「釘のメンテナンス」を「意図的に利益誘導のため」に行うと、風適法第20条10項に違反する無承認変更となり、行政処分の対象になる可能性があります。
このように、本来パチンコという釘を伴ったアナログ遊技機は、検定制度とは相容れない性質を持っているのです。
釘問題には2つの側面があり、それは「ホールによる釘調整」と「メーカーによる釘調整」ということになります。
今回の一連の「パチンコ撤去問題」により、一般入賞口の釘調整という形で「メーカーによる釘調整」はクローズアップされました。
その後、一般入賞口の問題を是正し役物比率をクリアする新基準機のパチンコ台が開発され、市場に随時リリースされることになった訳です。
そして今ではもう、実質的に「メーカーによる釘調整」は行われていないものと思われるのですが、そうなると今後は、相対的に「ホールによる釘調整」の方に注目が集まる可能性があります。
今年の1月下旬に京都府城陽市のホールが京都府警の立ち入り調査を受けました。
これは健全化推進機構の通報によるもので、釘調整を行っている現場を押さえられ、数十台のパチンコ台が証拠品として押収されました。
結果、風営法違反(無承認変更)で書類送検され、店長は「集客して利益を上げるためにやった」と容疑を認めるという事態に至った訳です。
この時のパチンコ台の命釘の幅は、ゆうに13mmを超えていました。(過去の事例から13mm以上の調整が摘発の対象となっている模様)
しかし、「パチンコ撤去問題」などの時期が時期だったこともあり、ついに来るべき時が来たかという感じでしたが、その後、大きな摘発例は出て来ていないようです。
このニュースはYAHOO!にも取り上げられ、世間一般においても釘調整は違法であるという認識は既に広まっているものと思われます。
おそらく、再び「パチンコ釘問題」が取り上げられるとすれば、撤去問題の方が片付く来年以降になるのではないかと思われるのですが、この時パチンコ業界は、次の4つの選択支の内のいずれかに直面していくと当サイトでは予想しました。
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結局、今までのままグレーな扱いとして釘問題は放置される。
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パチンコ台の仕様や規則変更はされず、釘に関する摘発や規制のみ強化され実質的に釘調整は出来なくなる。
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釘調整が合法化され、釘問題は根本的に解決される。
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動かせない釘(硬質プラスチック釘など)と設定が導入され、釘問題は根本的に解決される。
まずは、2と3から考察してみたいと思います。
2に関しては、仮に今の状態のままパチンコ台の釘調整だけ出来なくなった場合、ユーザーの大部分はスロットに流れるか遊技自体を止めてしまうことに繋がり、業界は壊滅的な打撃を受けることでしょう。
警察も、そこの所は重々承知しているであろうし、設定によって利益誘導が可能なスロットとの兼ね合いもあり、この選択肢はないものと思われます。
次に3についてですが、釘調整は本来コンマ数ミリで数千円も粗利が変化するような繊細なもので、角度をもって曲げが許されると「無限の出玉率を演出」出来るようになり、結果、検定制度の形骸化を招くことになってしまいます。
そうなると3の選択肢も消えることになり、1か4の選択肢が残る訳ですが、当サイトの現時点での予測としては、フィフティ・フィフティなのではないかと思われます。
4の『動かせない釘(硬質プラスチック釘など)と設定が導入され、釘問題は根本的に解決される。』に関してはメリットとデメリットがあります。
デメリットとしては、釘以外の要素(ネカセなど)の問題をどうするか、機種ごとのゲージの差異による出玉率や入賞率の変化をどう吸収していくか、など不透明な部分や検証しなければならない内容が多々あること。
メリットとしては、これから東京五輪、カジノ合法化、インバウンドの増加を迎える上で、グレーな扱いだった釘調整の必要性がなくなることにより、検定制度の国際標準化を達成することが出来るようになること。
さらに、eco遊技機にも繋がっていくことで、パチンコが世界に出ていくきっかけになる可能性もあるのではないでしょうか。
もちろん来年以降、撤去問題が解決された後も、現状のまま釘調整が行われていく可能性もあり、あくまで以上の予想は当サイト独自の見解であるということを最後に強調しておきたいと思います。
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