2016.12.06
【2016年】今年のパチンコ業界の売上高が急減した理由とは?
2016年の今年も、僅かな日数を残す限りとなってきました。
今回のコラムでは、2016年の今年のパチンコ業界売上高が、急減した理由について少し考察してみたいと思います。
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カジノ合法化で何が起こる?
売上高の話に入る前に、まずはパチンコ業界で今年起きた主な規制や出来事を、足早に振り返ってみることにします。
パチンコ業界は今年に入って、警察庁の要請ということもあり、一連の撤去問題の落としどころとして、日工組が自ら提出する撤去リストに基づき、対象遊技機の撤去作業を進めて行くことになりました。
撤去リストは、1次、2次、3次にまで及び、記載された撤去対象機種の総合計台数は、約72万台程度。
撤去の期限として、1次、2次リストに関しては8月末、3次リスト(最終撤去リスト)は年末までと設定されました。
パチンコ業界にとって、これほどの大規模な撤去・回収事案は、1996年に起きた社会的不適合機の撤去以来ということになります。
この辺りの経緯と考察については、以前のコラム(今回の撤去問題が以前のパチンコ業界のピンチと異なる3つの点とは?)が参考になると思います。
次の大きな出来事としては、日工組の内規変更により、「パチンコの大当り確率下限1/320」「確変継続率65%以下」「ベース30%以上」などの規制が掛かったこと。
これによって、新しい基準に沿った「新基準機」が、順次「旧基準機」と入れ替わってホールに導入されていくことになった訳です。
そして、最後にもう一つ出来事を挙げるとするならば、東京都における宣伝広告規制のことになるかと思います。
有名人招致やライターイベントの事前告知に対し、規制が入ることになりました。
これに関連し、都内の、あるスロット専門店が、高設定のパチスロ機の設置を示唆するメールの配信や設備の掲示などを行ったとして、広告宣伝関連で都内では初となる営業停止処分を受けています。
このように見てみると、今年はパチンコ業界にとって、激動ともいえる年だったのではないかと思います。
まずは、ここ数年間のパチンコ業界売上高と前年比を、DK-SISデータから引用してみることにします。
パチンコ業界売上高と減少率
年 |
売上高(兆円) |
売上高減少率(%) |
2008 |
28.4 |
----- |
2009 |
27.6 |
-2.9 |
2010 |
25.3 |
-9.1 |
2011 |
24.6 |
-2.8 |
2012 |
24.8 |
+0.8 |
2013 |
24.1 |
-2.9 |
2014 |
23.5 |
-2.6 |
2015 |
22.3 |
-5.4 |
大きな流れとして、パチンコ業界売上高は年々減少していることが分かります。
次に、今年に入ってからの月別のパチンコ業界売上高の推移を見るのに、経産省が公表している特定サービス産業動態統計調査のデータを引用してみることにします。
2016年の月別パチンコ業界売上高減少率(前年対比)
月 |
売上高減少率(%) |
1月 |
-8.6 |
2月 |
-9.8 |
3月 |
-12.0 |
4月 |
-12.7 |
5月 |
-12.2 |
6月 |
-11.0 |
7月 |
-11.9 |
8月 |
-13.9 |
9月 |
-11.9 |
2016年平均値 |
-11.6 |
2015年平均値 |
-6.0 |
今年9月までの「売上高減少率-11.6%」を維持したまま年末を迎えるとすると、2016年のパチンコ業界売上高は20兆円を割り込む可能性があります。
そして、2015年の「売上高減少率-6.0%」と比較すると、明らかに2016年の売上高減少率は大きくなっており、即ち「2016年の売上高は急減した」というのは事実であろうと思います。
さらに、もう一つ注目するべき点は、1月の時点から既に売上高の急減が始まっていたということ。
これは一体何を意味しているのでしょうか?
2016年のパチンコ業界の売上高が前年比で急減しており、その傾向は既に1月から表れていたことの理由を考察してみます。
パチンコの撤去リストが公表され、新基準機への入れ替えが本格的に始まったのは4月から。
ということは、新基準機の導入が売上急減の大きな理由になったとは考えにくい。
そこで、2015年の12月に起こった出来事を振り返ってみると、この時業界は、「遊技くぎ問題」の真っ只中にあり、新聞、テレビ、WEB媒体等で、この問題が大きく取り上げられていたことを思い出します。
新聞には、「不正改造」「数十万台自主回収」の文字が踊り、一時の社会問題になっていました。
このような報道に触れた、一般のパチンコユーザー視点で考えると、今ホールには不正改造された遊技機が、何十万台も稼働設置されていると思うはずです。
そういったユーザーの中から、ホールへの足が遠のく人が出てきていたことは想像に難くないと思います。
もちろん、新基準機におけるスペックダウンが売上げ減の原因になっている可能性もありますが、当サイトでは、遊技くぎ・撤去問題による業界に対するイメージダウンの方が、その理由になっているのではと考えています。