2017.02.10
【遊技機性能調査】パチンコ撤去問題の直近の動きについて。一般入賞口の調査が再開される模様。
72万台にも及ぶ撤去回収を伴った「パチンコ撤去問題」が起きたのは昨年、2016年のこと。
2016年末の最終撤去期限が過ぎた今、この問題は既に解決済となったのであろうか?
結論から言うと、まだ終っていないばかりか、新たな懸念事項が発生して来たので今回のコラムにおいて取り上げてみることにしました。
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カジノ合法化で何が起こる?
1月26日に回収機問題を話し合う9団体連絡会議が開かれ、関係者などから様々な発言が飛び出しています。
回収対象遊技機を昨年末の期限までに撤去しなかった営業所は、1月6日時点で神奈川県の1店舗12台と大阪府の1店舗224台。このうち、神奈川県の店舗は1月16日撤去し、残りは大阪府岸和田市の1店舗となった。同店に対しては、日工組メーカーと全商協とで継続して説得にあたっていると報告された。
また、当日の会合に臨席した警察庁保安課の津村優介課長補佐は、残りの1店の撤去回収に全力を挙げるよう求めるとともに、今後、全国のパチンコ営業所への立入りを実施し、対象遊技機の撤去状況をあらためて確認する方針を明らかにした。また、「検定機と性能の異なる可能性のある遊技機」を出荷した原因を調査するために、各メーカーに対して報告を求める考えを示したほか、これまで留保していた遊技産業健全化推進機構の遊技機性能調査について行政通報が再開されることを明らかにした。
(参考ページ)警察庁が撤去状況と依存問題の取組みの確認へ|遊技通信web
発言の要旨を纏めてみると、業界団体側においては、
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撤去期限を守れなかった店舗は、1月6日時点で神奈川県の1店舗12台と大阪府の1店舗224台。
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未撤去店に対し、日工組メーカーと全商協とで継続して説得にあたっている。
「取り締まり行政側」においては、
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全国のパチンコ店に対し、撤去状況の確認のための立ち入り調査を行う。
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各メーカーに対し、「検定機と性能の異なる可能性のある遊技機」を出荷した原因を調査するため、報告を求める。
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「遊技産業健全化推進機構」の「遊技機性能調査」について、行政通報が再開される。
といった感じになると思います。
有耶無耶のうちに収束して行くかのように見えた「パチンコ撤去問題」ですが、「取り締まり行政側」の追及は中々に厳しい内容になっています。
果たして各メーカーは、この問題における原因の報告を行うことが、本当に出来るのでしょうか?
さらに、「遊技産業健全化推進機構」の「遊技機性能調査」で行政通報が再開される件について、直近の情報では以下のようになっています。
遊技産業健全化推進機構(機構)は7日、実務者会議を開催。その中で「遊技機性能調査結果の行政通報留保の解除」について説明が行われた。
遊技機性能調査は、2015年6月より機構が一般客に混ざり、パチンコ遊技くぎの状態を調査する目的に行なわれている。調査内容は1台あたり2000個以上を打ち出し、一般入賞口へ入った入賞個数をカウントする。
当初は半年間を経過措置とし、行政への通報を留保する予定としていたが、その後に遊技機の撤去回収問題への取り組みを実施していたこともあり、検査結果の留保を継続する状態が続いていた。
機構は今後、早ければ2月の最終週調査分より異常があれば行政通報を行うとしている。
行政通報された店舗は台の押収後、実況見分の結果次第で行政処分が下されることになる可能性があるとのこと。また通報の判断基準においては、まだ確定していないとしながらも、検定機との同一性が基準となりそう。
(参考ページ)機構、「遊技機性能調査結果の行政通報留保の解除」を説明 | e-じゃん
次の三点が非常に重要だと思われます。
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早ければ2月の最終週調査分より異常があれば行政通報を行う。
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行政通報された店舗は台の押収後、実況見分の結果次第で行政処分が下されることになる可能性がある。
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通報の判断基準においては、検定機との同一性が基準となる可能性がある。
もしかしたら、再び業界を揺るがす事態に発展するかもしれません。
その理由を、次の章で説明してみることにしましょう。
実をいうと、「遊技機性能調査」の結果の行政通報はずっと留保されていたのですが、「遊技機性能調査」事態は継続的に行われていて、その結果も公表されています。
一般入賞口に入賞が確認された遊技機の割合
2016年1月 |
70.6% |
2月 |
65.5% |
3月 |
71.1% |
4月 |
83.7% |
5月 |
91.2% |
6月 |
80.6% |
7月 |
69.6% |
8月 |
75.0% |
9月 |
77.4% |
10月 |
80.7% |
11月 |
85.0% |
「遊技機性能調査」事態は難しいことをする訳でもなく、先にも出てきたように「パチンコ1台あたり2000個以上を打ち出し、一般入賞口へ入った入賞個数をカウントする」だけ。
しかしこの時、一般入賞口へパチンコ玉が一発も入らない場合には、「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」となってしまう。
この辺りの詳しい説明については、以前のコラム「検定時のパチンコ台における一般入賞口の状態とは?」を参考にしてみて下さい。
(参考)検定時のパチンコ台における一般入賞口の状態とは?
つまり理論的には、「一般入賞口に入賞が確認された遊技機の割合」が「100%」にならない場合、「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」は、ホールにまだ残存しているということになります。
以上のことは周知の事実であり、だからこそ「『旧基準MAX機の全撤去』という落としどころ」をもって、利害関係者の全てが納得していたかのように思えていたのでした。
ここで今回、「遊技機性能調査結果の行政通報」を要請した「取り締まり行政側」の意図に関して、2つの疑問が湧くことになります。
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調査対象の機種は「新基準機」に限られるのか?
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調査対象の機種に「旧基準機」は含まれるのか?
「1の場合」であれば、そこまで問題は大きくならないと思われるのですが、「2の場合」には少し話が違ってきます。(「1の場合」でも、もしかしたら一般入賞口を締めている店舗が存在するかもしれません)
「旧基準機」は、未だにホールに多数設置されており、「旧ゲージ」であるが故、一般入賞口の検査に引っかかる場面も出てくることになる。
要するに、調査対象の機種に「旧基準機」が含まれるならば、第2の「パチンコ撤去問題」に発展しかねないということ。
「取り締まり行政側」の意図が、「新基準機のベースが守られているかチェックする」ことにあるのならば事無きを得るが、そうでないのならば再び業界に激震が走ることになるのかもしれません。
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